研究開発課題の概要
誤り耐性型の汎用量子コンピュータ実現のためにはGKP量子ビットおよび魔法状態生成が必須であり、60光子以上を識別でき、動作帯域1GHz、量子効率99%以上の超伝導光子数識別器の開発をする。それを用いて誤り訂正用論理的量子ビットであるGKP量子ビットおよび、誤り耐性型非クリフォード演算を可能とする魔法状態の生成をする。
初めのステップでは、まず現有の光リソグラフィを用い、超伝導素子が5ミクロンまでで実現可能なものを目指す。このとき、帯域は5-10MHzで、上限光子数は40程度となる。次のステップでは、電子線・集束イオンビーム描画装置を導入し、それ以下のサイズの超伝導体素子を作製し、高性能化を目指す。これにより、最終的な目標である、上限光子数100および動作帯域1GHzを目指す。リスクヘッジとしては、広帯域連続光光源だけでなく、モードロックパルス光光源使用法についての検討も並行して行う。
これは、超伝導光子数識別器の動作帯域が十分でなくても、用いる光を広帯域連続光からパルス光に変えれば、波束幅を小さくでき、量子操作の広帯域動作を可能にするからである。GKP量子ビットおよび魔法状態の生成は、スクイーズド光とビームスプリッターおよび超伝導光子数識別器で構成する任意状態生成器で行い、スクイーズド光の本数、ビームスプリッターネットワークの構成、超伝導光子数識別器の数は任意パラメーターであり、任意状態発生器として最も効率の良いパラメーターを見つけ出す。